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書評 異常値の出るメカニズム 第6版
本田 孝行
1
1信州大学・病態解析診断学
pp.677
発行日 2013年6月15日
Published Date 2013/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542103457
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“検査値を読んでみたい”という衝動に駆られたことはないだろうか.その知的好奇心を十二分に満たしてくれるのが,河合忠先生,他編集の『異常値の出るメカニズム 第6版』である.1985年に第1版が発売され第6版を迎えるので,超ロングセラーに間違いなく,医療従事者にとって検査値を読むためのバイブルといっても過言ではない.第5版から5年目の早い改訂であり,河合先生の意欲が感じられる.
ルーチン検査(基本的検査)は血算,生化学,凝固線溶および尿検査などを含んでおり,世界中で最も頻繁に行われている.臨床検査部では正確な検査結果を返そうと努力しているが,患者の診断,治療に必ずしも十分に活用されているとはいえない.最大の理由として,ルーチン検査を読む教育が十分でないことが挙げられる.AST,ALTが上昇すれば肝機能が悪い,UN,クレアチニンが上昇すれば腎機能が悪いなど,ごく表面的な浅い解釈にとどまっており,患者の病態を深く追求できていない.結果として十分に活用されない検査が大量に行われており,医療費の無駄遣いともいえる.
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