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書評「「図解生理学」第2版」
本間 生夫
1
1昭和大学医学部生理学
pp.28
発行日 2001年1月25日
Published Date 2001/1/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403103125
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中野昭一先生による「図解生理学」が,このたび,第2版として改訂された.初版が世の中に出たのが約20年前である.現在,多くの出版社から数多くの生理学教科書が出版されているが,当時はまだ数も少なく,故真島教授が書かれたいわゆる真島生理学が各大学で使われていた.その時代に当時東海大学生理学教室におられた中野教授がこの本を出版された.現在では図を多く取り入れた教科書が主流になっているが,当時はまだ珍しく,しかも両開きの左側に図だけを配置し,右側に説明文を配置した教科書は中野教授のものだけであった.視覚に訴え,理解しやすくしたことが学生たちの支持を受け,図解という言葉が話題になっていた.
視覚に訴えた理解のしやすさは,この改訂版にも受け継がれており,図もはっきりと大きく表示され見やすくなっている.右側に書かれた説明文も各項目ごとに良くまとまっている.行間も見やすくとられており,500頁以上になる教科書であるが,たいへん読みやすくなっている.読みやすいという点では,各章の冒頭に,その章の導入部分が書かれており,とりあえず読む人の頭の中にその章の特徴がとらえられるようにくふうされている.こうしたくふうや特徴は,これから膨大な生理学を学ぼうとする初学者には,うれしい配慮であろう.また,人体の生理を中心に取り上げたこの本には病態の説明もあり,最新の知見も加えられている.20年の歳月を重ね,最初の出版のコンセプトを守りつつ,新しい知見も取り入れ,より良い教科書へと発展させたこの「図解生理学」は,学生の教科書として,また人体生理学を理解するための参考書としてたいへんに力になってくれる書である.
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