Coffee Break
忘れられない症例
市川 平三郎
1,2
1国立がんセンター
2(財)早期胃癌検診協会
pp.154
発行日 1999年2月25日
Published Date 1999/2/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403102947
- 有料閲覧
- 文献概要
昭和37年(1962年)の年末のことである,食べすぎて下痢をしたという中年の女性が福島で開業している医師から国立がんセンターに紹介されてきた.その年の6月から診療を開始したばかりの国立がんセンター病院で,当時としては多数の早期胃癌を発見して意気高らかで,夜を徹して頑張っていたわれわれグループの1人,土井偉誉君がその患者のX線撮影を行った.胃角部に小さな隆起性病変が写っている.きれいな二重造影像だった.皆で確認して,その形状からこれは早期胃癌に違いない,と結論づけて,当時の初代病院長,久留勝先生に手術をお願いした.
手術日,たまたま手術室に行けずに透視室にいた私のところに,久留院長がご自身で切除したばかりの標本を持参してくださった.
Copyright © 1999, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.