Japanese
English
今月の主題 十二指腸の腫瘍性病変
序説
十二指腸の腫瘍性病変
Introduction
芳野 純治
1
Junji Yoshino
1
1藤田保健衛生大学坂文種報徳會病院内科
キーワード:
十二指腸
,
十二指腸腫瘍
,
十二指腸腫瘍性病変
,
十二指腸の発生
,
十二指腸カルチノイド
Keyword:
十二指腸
,
十二指腸腫瘍
,
十二指腸腫瘍性病変
,
十二指腸の発生
,
十二指腸カルチノイド
pp.1585-1586
発行日 2011年10月25日
Published Date 2011/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403102376
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 参考文献 Reference
十二指腸の発生
十二指腸は小腸の一部とされるが,その発生は小腸と全く同じではない.すなわち,消化管は発生学的に前腸,中腸,後腸に分けられ,十二指腸は前腸の遠位部と中腸の近位部から成り,総胆管の開口部の遠位側あたりに前腸と中腸の移行部がある.このため十二指腸の血管支配は複雑で,十二指腸上部では腹腔動脈から分枝した胃十二指腸動脈のさらに分枝である上膵十二指腸動脈から血流を受ける.一方,十二指腸下部は上十二指腸動脈の分枝である下膵十二指腸動脈により支配される.十二指腸は発生の途中で腸間膜を失い,後腹膜に埋もれて固定される.
消化管ホルモンでは球部を中心に,セクレチン,コレシストキニン,胃抑制ペプチド(gastric inhibitory peptide ; GIP)の産生細胞が存在する.運動と機能は主として前腸では蠕動と消化,中腸では振り子運動と吸収である.十二指腸に特徴的なBrunner腺は,小児では十二指腸球部から空腸まで及んでいるが,成人になると球部から乳頭部までの部位に限局するようになる.病変の発生とのかかわりでは,Brunner腺腫は当然のことであるが,腺腫やカルチノイドも十二指腸では球部や下行部に極めて多い.発生学的にVater乳頭部より口側と肛門側では差があり,Vater乳頭部を境に分けて考える必要もあるのではないかとも考える.
Copyright © 2011, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.