Japanese
English
今月の主題 colitic cancer/dysplasiaの早期診断─病理組織診断の問題点も含めて
主題症例
直腸の扁平隆起型colitic cancerの1例
Flat Early Rectal Carcinoma Arising in Ulcerative Colitis, Report of a Case
渡邊 真
1
,
平田 一郎
1
Makoto Watanabe
1
,
Ichiro Hirata
1
1藤田保健衛生大学消化管内科
pp.1370
発行日 2008年8月25日
Published Date 2008/8/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403101450
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患者は55歳,男性.全大腸炎型で8年前より下痢5~6回/日を自覚し,4年前の内視鏡検査で潰瘍性大腸炎と診断された.経過観察の内視鏡検査でS状結腸にp53免疫染色強陽性の扁平なhigh grade dysplasia(HGD)を認めた.直腸には発赤や陥凹は目立たない,一部結節状に盛り上がった扁平な隆起を認めた(Fig. 1).ピオクタニン染色拡大観察(Fig. 2)では,顆粒から絨毛様のIV型pitに分類される所見を認め,生検ではHGDと診断された.全大腸切除術が施行され,上行結腸とS状結腸にSM癌を認めた.直腸の病変(Fig. 3)は,丈の低い隆起で,基底層には連続して異型腺管を認め,隆起の頂部に明らかな構造異型を伴う高分化型腺癌pM,ly0,v0,であった(Fig. 4a).また,隆起病変の周辺粘膜(Fig. 4b)では,萎縮した腺管を背景にlow grade dysplasia(LGD)が広がっていた.
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