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はじめに
旧来の画一的な胃癌治療法に比べて,今日では胃癌の状態に応じて異なった治療法がとられるようになってきた.特に早期癌やそれに近い進行癌に対しては縮小手術ないし個々人に適合したtailor-madeの治療を選択する時代となっている.この治療法選択には,術前に病変の質的診断,癌ならその範囲診断・深達度診断・悪性度・転移巣・再発様式予測を正確に下すことが必須条件である.胃生検診断(ここではforceps biopsy,fine needle biopsy,aspiration biopsyでの診断を指す)はこれら術前診断の重要な役割の一部を担っている.しかし,胃生検診断は病変の一部を組織診断したものであり,その診断が必ずしも病変全体を正確に診断しているとは限らない点に問題がある.病理医は生検材料を提供してくれる臨床医と緊密な対話をすることによりこの問題は解消に向い,生検診断は外科切除材料の組織診断と同様ないしそれに近い精度の組織診断となることができよう.すなわち,胃生検診断の意義は外科切除材料の組織診断に匹敵する点にある.
また,従来の胃生検診断は“病変が腫瘍か非腫瘍か,腫瘍なら良性腫瘍か悪性腫瘍か”を診断すればよかったが,今日の胃生検診断は“良性腫瘍なら,その治療法は.悪性腫瘍なら,その悪性度と治療法選択への助言は”とその後の処置も問われるようになってきた.
このような時代背景にあって,1970年から胃生検組織診断基準として,わが国で用いられてきたGroup分類は“現在でも本邦で時代に適合したものであるのかどうか”,さらに“世界的視野からみた場合,日本のGroup分類はそのままで通用するのかどうか”を問い直す必要があろう.本号はそのような点を明らかにするために企画されたものである.
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