特集 消化管内視鏡治療2006
コラム
早期胃癌の内視鏡治療
濱中 久尚
1
,
後藤田 卓志
2
1調布東山病院内科
2国立がんセンター中央病院内視鏡部
pp.543
発行日 2006年4月24日
Published Date 2006/4/24
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1403100320
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endoscopic submucosal dissection(ESD)の登場は,早期胃癌に対する治療に大きな革命をもたらした.ESDは,ITナイフ,フックナイフ,フレックスナイフなどのデバイスを用い,病変を切開・剝離する方法で,従来のstrip biopsy法やEMRC法よりも大きな標本を一括切除できる手技である.ただし,その適応を誤れば,生命予後を大きく左右する可能性も含んでいるため,慎重な治療選択が行われなければならない.早期胃癌に対する内視鏡治療の適応について述べる.
胃癌に対する内視鏡治療はリンパ節郭清を伴わない局所治療であるため,対象となりうる病変はリンパ節転移のないことが大前提となる.しかし,術前の深達度診断,範囲診断などの正診率は100%ではなく,術前の段階での内視鏡治療の対象病変は,あくまで“根治できる可能性がある病変”でしかない.よって,切除後の標本における正確な病理組織学的検索が重要で,この場合分割切除されたものより一括切除された標本のほうが容易かつ確実な病理診断が可能であることは言うまでもない.この考えのもと2001年3月,日本胃癌学会より「胃癌治療ガイドライン」が発表された.ガイドラインでは“2cm以下の肉眼的粘膜癌(cM)と診断される病変で,組織型が分化型(pap,tub1,tub2).肉眼型は問わないが,陥凹型ではUL(-)に限る”病変が内視鏡治療の適応と記載されている.
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