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特集 悪性腫瘍治療の現況—他科では今
早期胃癌の内視鏡的治療
Curative endoscopic treatment of early gastric cancers, today
鈴木 博昭
1
,
増田 勝紀
1
,
藤崎 順子
1
Hiroaki SUZUKI
1
1東京慈恵会医科大学内視鏡科
pp.1421-1428
発行日 1992年11月20日
Published Date 1992/11/20
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1407901031
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内視鏡を中心とした早期胃癌の診断能が向上したことによって,早期胃癌例の胃癌例中に占める頻度が上昇したばかりでなく,粘膜癌(m癌)や微小癌(0.5cm以下の癌)の占める割合も増加している.また,電子スコープや色素内視鏡,超音波内視鏡の普及により,癌の深達度についてもかなり正確に診断できるようになった.一方,早期胃癌に対する数多くの手術例の切除標本による病理組織学的検討から,リンパ節転移の可能性を否定できる早期胃癌とはどんなタイプのものであるかが次第に明らかにされてきた.さらに,内視鏡的治療の手技としてポリペクトミーやレーザー照射法に引き続いて粘膜切除法も登場してきた.また2つの鉗子孔をもつ内視鏡も開発され,治療がより安全かつ確実に行われるようになった.高齢化社会の傾向に伴い,高齢や重症合併症あるいは手術拒否などを理由に手術不適と判定される症例が増加している.
以上の諸点を背景として,多くの施設で早期胃癌の内視鏡的治療の適応が積極的に検討されている.当内視鏡科では1980〜1990年までに50例(絶対的適応22,相対的適応28例)にNd-YAGレーザー治療を,また1990年からは絶対的適応25例に対して粘膜切除法(EMR)を行い,ほぼ満足すべき成績を得ている.超音波内視鏡の活用や治療法の適応別選択などにより,癌の大きさや深達度などの点で「早期胃癌の内視鏡的治療はどこまで可能か」のテーマについて検討を進めているのが現状である.
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