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腫瘍に対する内視鏡治療には,組織切除法と組織破壊法がある.組織切除法は高周波電流切除を用いて内視鏡的に病巣を切除する方法であり,ポリペクトミー,内視鏡的粘膜切除術,切開・剝離法などが挙げられる.これらの方法は手技に熟練を必要とするが,切除標本が得られるために組織学的検索が可能である.一方,組織破壊法には組織凝固法(レーザー,マイクロ波,高周波など),局注法(抗癌剤,純エタノール,免疫賦活剤など),光線力学的治療,局所温熱療法などがあり,いずれの方法も手技は比較的容易であるが,治療効果が一定でない,組織学的検索ができないなどの欠点がある.
APC(argon plasma coagulation)
アルゴンプラズマ高周波凝固法(APC)は,アルゴンガスを媒体として高周波により凝固を行う方法である.プローブ先端でアルゴンガスが高周波電流によりイオン化され,アルゴンプラズマ流となって組織凝固を行う.高周波電流は抵抗の低い部分に向かう特性を有するため,凝固が進むと組織の抵抗が高まり同一部位の凝固は進展しない.したがって,APCを用いた治療では腫瘍の深部破壊は不可能であるため,粘膜や粘膜下層浅層の組織破壊に限定される.実際には,粘膜内癌の内視鏡治療後の取り残しや遺残再発,腫瘍ではないがGAVE(gastric antral vascular ectasia)やvascular ectasia,食道静脈瘤に対するEVL(endoscopic variceal ligation)/EIS(endoscopic injection sclerotherapy)後の地固め療法,止血法の1つとしてAPCが用いられることが少なくない.
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