今月の主題 白血病—研究と診療の最新情報
疫学と病因
ウイルスと白血病—HTLV-Iによる成人T細胞白血病の発生機序をめぐって
田口 博國
1
,
三好 勇夫
1高知医科大学第3内科
pp.592-594
発行日 1993年4月10日
Published Date 1993/4/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402910098
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●HTLV-1感染により一部のヒトにのみATLが発症する機構は,まだよくわかっていない.
●感染から発症までに5つの要因が働くと考えられており,これらのうち,HTLV-IのpX遺伝子の産物p40taxによるウイルス自体の発現の促進,IL-2レセプタ一の発現,および細胞の増殖遺伝子の活性化,またウイルスの組み込みによる染色体異常,p53遺伝子の変異などの果たす役割が推定されている.
●特定のHLAの保持者,あるいはHTLV-I感染自体による宿主の免疫能の低下も,ATL発症に重要であると考えられる.
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