今月の臨床 妊娠と免疫
妊娠合併症と免疫—母児をどう扱うか
25.HTLV-I(成人T細胞白血病)感染症
植田 浩司
1
,
楠原 浩一
1
Kohji Ueda
1
,
Koichi Kusuhara
1
1九州大学医学部小児科学教室
pp.210-211
発行日 1992年2月10日
Published Date 1992/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1409900750
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成人T細胞白血病ウイルス(HTLV-I)は,1981年日沼らにより発見された新しいウイルスであり,1977年高月らが記載した新しい疾患概念:成人T細胞白血病(ATL)の病原である。ATLは,HTLV-Iの感染者すなわちHTLV-Iキャリア(HTLV-I抗体陽性者と同義)に特異的に発症し,その割合はキャリア約1,000人あたり年間1例と推計されている。HTLV-Iの感染経路として,母子感染,夫婦間感染,輸血の3つが明らかにされているが,これまでの疫学調査より,ATLの発症に直接関与しているのは小児期の感染すなわち母子感染であると考えられている。本稿では,ATLの予防という観点から最も重視されているHTLV-Iの母子感染に焦点をあて,これまでの知見と周産期における母児の取り扱いについて概説する。
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