今月の主題 止血機構とその異常
治療の進歩
輸血と成人T細胞白血病ウイルス
市丸 道人
1
1長崎大学医学部付属原爆後障害医療研究施設・後障害治療部門
pp.292-294
発行日 1986年2月10日
Published Date 1986/2/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402220229
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輸血と成人T細胞白血病ウイルスというテーマは,今回企画された「止血機構とその異常」とは直接的な関わりが少ないように思われる.しかし,輸血は出血性疾患の治療として頻回に用いられる手段の一つであり,全血輸血のみならず,血小板輸血であってもリンパ球の混入する成分輸血であれば,本ウイルス(HTLV-I;human T-cell leu-kemia virus-I)の感染がこれを介して成立する可能性がある.したがって,本ウイルスの感染経路としての輸血に関する知識は必要であり,ことに本ウイルスのendemic areaでは現在,将来ともに見逃すことのできない問題であろう.本稿ではendemic areaの一つである長崎にて得られた本ウイルスと輸血との関わりについての成績を中心に述べ,輸血による感染の意義,今後の問題点などにも触れてみたい.
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