増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第5集
一般検査
尿検査
尿中β2-マイクログロブリン/α1-マイクログロブリン
藤井 謙裕
1
,
土肥 和紘
1
1奈良県立医科大学第1内科
pp.745-747
発行日 1994年10月30日
Published Date 1994/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402910006
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検査の目的・意義
β2-マイクログロブリン(β2-m)とα1-マイクログロブリン(α1-m)は,尿中低分子量蛋白(lowmolecular weight protein)の主成分である.β2-mは分子量11,800 daltonで,すべての有核細胞で産生される.α1-mは分子量が33,000 daltonで,主として肝細胞で産生される.この両蛋白質は,低分子量であるために糸球体基底膜を容易に通過し,糸球体濾液として尿細管腔に到達する.尿細管腔に到達したβ2-mとα1-mは,95〜97%がエンドサイトーシスによって近位尿細管上皮細胞に取り込まれ,ライソゾーム酵素によってアミノ酸に異化される.
β2-mとα1-mの尿中排泄が増加する機序には,①血中濃度の上昇,②尿細管機能障害,の2つが考えられる.血中濃度の上昇には,産生過剰による場合と,糸球体からの排泄障害による場合とがある.つまり,血中濃度の上昇に伴って,尿細管上皮細胞での再吸収能を凌駕する多量のものが尿細管腔に濾過されることになり,尿中排泄が増加する.また,尿細管上皮障害によって再吸収能が低下する場合も,尿中排泄は増加する.
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