総説
β2マイクログロブリン
金 衡仁
1
,
河合 忠
1
1自治医科大学臨床病理
pp.499-504
発行日 1977年5月15日
Published Date 1977/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542914353
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β2マイクログロブリンとは
β2マイクログロブリン(β2-microglobulin,以下β2-mと略す)は1968年に初めてBerggårdとBearnによりWilson病及び慢性カドミウム中毒患者の尿から分離精製された,分子量11,800の低分子タンパクで,100個のアミノ酸残基を持つ一本のポリペプチド鎖から成り,正常人の血液,尿,髄液などの体液中に微量含まれている1).1972年にPetersonらによりβ2-mのアミノ酸配列が決定され,その構造が免疫グロブリン(IgG1)の不変部(特にCH3)のそれと類似性が強いことが指摘された2).
β2-mはリンパ球をはじめとする種々の有核細胞によって産生され3〜5),細胞の活動性が盛んなほどその産生は亢進する.またβ2-mはHLAのサブユニットであることが判明し6,7),生体の免疫機構に関与するタンパクとして注目されている.
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