増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第5集
免疫学的検査
感染症関連検査
ウイルス抗原・抗体検査
単純ヘルペスウイルス
川名 尚
1
1東京大学医学部産婦人科(分院)
pp.556-557
発行日 1994年10月30日
Published Date 1994/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402909938
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感染病理
単純ヘルペスウイルス(Herpes simplex virus:HSV)は,体の種々の部位に感染し,疾患を発症することもあるが,無症候に終わることも多い.HSV感染の特徴は,感染して,ひとたびヒトの体に入ると神経を伝って上行し,三叉神経節や仙骨神経節などの神経節に潜伏感染し,時々なんらかの刺激でこれが再活性化されて,再び神経を伝って下行し,皮膚・粘膜に病変を形成する,または病変は形成されずHSVのみが排泄されることである.したがって,疾患としては最初に罹患したとき(初感染)に発症する場合と,再活性化されたHSVが疾患をもたらす場合とに分かれる.このことは,特に血清抗体による診断に際して注意しなくてはならない.つまり,当該疾患がHSVの初感染によって惹起されているのか,HSVの再活性化によって惹起されているのかを知らないと,血清抗体を測定してみても正しい評価が難しい.
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