増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第5集
免疫学的検査
免疫グロブリンその他
Bence Jones蛋白
中野 栄二
1
1日本大学医学部附属練馬光が丘病院臨床病理
pp.512-513
発行日 1994年10月30日
Published Date 1994/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402909921
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検査の目的・意義
悪性腫瘍のマーカーとしては尿中Bence Jones蛋白(以下,BJPと略)が最も古くから知られており,多発性骨髄腫(multiple myeloma:MM)のマーカーとして知られている異常蛋白である.BJPの化学的構造は免疫グロブリンのフラグメントであり,free light chain(L鎖)である.正常免疫グロブリンはheavy chain(H鎖)とL鎖から構成されており,L鎖にはκ鎖とλ鎖の2種類が存在する.BJPはいずれか一方のみの型であり,しかも単一クローン性であることが特徴で,健常者には存在しない.
H鎖とL鎖は形質細胞内の異なるリボゾームで合成され,それぞれの2対から構成されてから分泌される.正常ではH鎖とL鎖が同量合成されているが,BJPはL鎖のみが腫瘍性に過剰産生されたものである.したがって単一クローン性であり,L鎖もいずれか一方のみの型で存在するのである.L鎖は分子量が約22,000であるが,BJPはほとんどがdimer(二量体)として合成・分泌され,正常な血清蛋白よりも分子量が小さく,尿中に漏出されてしまい,血清中では検出しにくい.
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