技術講座 一般
尿蛋白試験紙とBence Jones蛋白
菊池 春人
1
1慶應義塾大学医学部臨床検査医学
pp.588-592
発行日 2011年8月1日
Published Date 2011/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543103213
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新しい知見
血清遊離軽鎖定量:H鎖(heavy chain)と結合しているL鎖(light chain)は認識せず,遊離のL鎖だけを認識する抗体を用いて,血清中の遊離L鎖κ,遊離L鎖λをそれぞれ免疫定量する方法である.骨髄腫になると遊離κとλの存在比率(κ/λ比)が異常となる.この比率,定量値によって通常の方法では確認できないBence Jones蛋白も把握することができる.国際的な骨髄腫寛解判定基準の厳しい完全寛解(stringent complete remission)の項目としてκ/λ比の正常化が含まれている.また,MGUS(monoclonal gammopathy of undetermined significance)の予後推定やALアミロイドーシスの診断などにも有用であるとされている1).今のところわが国では健康保険の適用がないが,申請中であり近く保険収載される可能性もある.
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