増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第5集
内分泌学的検査
甲状腺・副甲状腺
サイログロブリン
葛谷 信明
1
,
金澤 康徳
1
1自治医科大学大宮医療センター内分泌代謝科
pp.380-381
発行日 1994年10月30日
Published Date 1994/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402909867
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検査の目的・意義
サイログロブリン(Tg)は,甲状腺濾胞細胞でつくられる分子量66万の糖蛋白である.生合成されたTgは濾胞腔の中へexocytosisによって放出される.この経過中に,ペルオキシダーゼの作用によってTg分子中のチロシン基にヨード分子が結合して,ヨードチロシンやT4やT3が分子中に形成される.コロイド中に蓄えられたTgは,TSHなどの刺激が加わるとendocytosisが起こり,コロイド小滴として濾胞細胞内に再吸収され,リソゾームと融合して,その蛋白分解酵素によって甲状腺ホルモンが分離され血中に分泌される.一部のTgは,加水分解を受けずに血液中に分泌される.ほかに,濾胞細胞間を通ってのリンパ液中や血中への分泌も推定されている.
血中Tg濃度の測定は,甲状腺にいくつかの疾患や病態が存在することを示す指標として有用である.血中Tg濃度は,TSHやBasedow病にみられる異常甲状腺刺激IgGによって甲状腺が刺激された状態で,分泌亢進により上昇がみられる.
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