増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第5集
内分泌学的検査
甲状腺・副甲状腺
カルシトニン
廣谷 淳
1
,
森本 茂人
1
,
荻原 俊男
1
1大阪大学医学部第4内科
pp.382-383
発行日 1994年10月30日
Published Date 1994/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402909868
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検査の目的・意義
カルシトニン(CT)は32個のアミノ酸よりなるペプチドホルモンで,血中カルシウム低下作用を有し,1,25-ジヒドロキシビタミンD,副甲状腺ホルモンとともにカルシウム代謝調節ホルモンの一つに数えられる.哺乳類においては,主として甲状腺の傍濾胞細胞(C細胞)から分泌されているが,その他にも肺,胸腺,消化管内分泌細胞,脳などに免疫活性が見いだされている.
臨床的に血中カルシトニン値の異常が問題になるのは,甲状腺髄様癌,および異所性カルシトニン産生腫瘍(カルチノイド症候群,肺小細胞癌,神経芽細胞腫など)である.これらの疾患の診断,経渦観察(術後の残存,再発)において血中カルシトニンの測定は重要な意義を持つ.また甲状腺髄様癌を合併しやすい多発性内分泌腺腫症II型を疑う症例,およびその家族の検索の際にも測定が必要となる.他にカルシウム代謝異常,膵炎,慢性腎不全,骨疾患などで異常値を示すことが認められているが,臨床的意義は少ない.
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