増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第6集
内分泌学的検査
甲状腺・副甲状腺
Tg/TBG(サイログロブリン/サイロキシン結合グロブリン)
藤村 英昭
1
,
橋本 琢磨
2
1金沢大学医学部附属病院検査部
2金沢大学医学部医学部臨床検査医学講座
pp.466-467
発行日 1999年10月30日
Published Date 1999/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402906426
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Tg
異常値の出るメカニズムと臨床的意義
サイログロブリン(Tg)は,甲状腺濾胞細胞で合成される糖蛋白であり,濾胞腔へ分泌される過程で甲状腺ペルオキシダーゼの作用により分子内のチロシン基がヨウ素化される,いわば,甲状腺ホルモン合成の前駆体として重要な役割を果たしている.臓器特異性の高い物質であるが,種々の甲状腺疾患で上昇するため,Tgだけで疾患を鑑別することはできない.
Tgは,乳頭癌や濾胞癌などの甲状腺分化癌で高値を示すことが知られている.一方,髄様癌や未分化癌ではほぼ正常であることが多い.腫瘍部位の切除手術後には速やかに正常化するが,高値を持続する場合は転移の可能性が疑われる.また,再発例では血中Tg濃度が再上昇することが多い.したがって,甲状腺分化癌の術後経過の観察に有用であるといえる.
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