増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第9集
内分泌学的検査
甲状腺・副甲状腺
Tg(サイログロブリン),TBG(サイロキシン結合グロブリン)
日高 洋
1
1大阪大学大学院医学系研究科内科学講座(臨床検査診断学)
pp.348-349
発行日 2015年4月1日
Published Date 2015/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402223305
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Tg(サイログロブリン)
検査の概要
Tgは甲状腺濾胞腔に貯えられているコロイドの主成分である.Tgは健常人の血中にも存在するが,さまざまな甲状腺疾患では高値を示す.甲状腺の悪性腫瘍だけでなく良性腫瘍でも血中Tgが高値を示すため,血中Tg値だけでは良性・悪性の鑑別はできない.しかし,濾胞性腫瘍(濾胞癌or濾胞腺腫)において,血中Tgが1,000ng/mL以上を示す場合は濾胞癌の可能性が高いとの報告があるため,甲状腺に腫瘍を認めた場合には定期的に測定することが多い.また,甲状腺乳頭癌・濾胞癌で甲状腺を全摘したあとの腫瘍マーカーとしては非常に有用で,術後に血中Tg値が上昇してきた場合には癌の再発・転移を疑う.
Tgは,血清を測定検体として,ECLIA法(電気化学発光免疫測定法)などの免疫測定法で測定される.ただし,抗サイログロブリン抗体(TgAb)が陽性の検体では,血中Tg値が偽低値を示すことがあるため,血中Tg測定時にはTgAbも同時に測定する.
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