増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第5集
血液生化学検査
酵素および関連物質
その他
SOD(スーパーオキサイドジスムターゼ)
坂岸 良克
1
1埼玉医科大学中央検査部
pp.124-127
発行日 1994年10月30日
Published Date 1994/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402909777
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活性酵素とSOD
Big Bangに始まる宇宙の歴史からは,酸素の積極的作用によって生物進化が爆発的に進んだPasteur点は16億年前ということであるが,その前段階で,酸素は生物に多くの障害を与え,いわば酸素分子は両刃の剣であった.未熟児を保育箱で保育することによって生じた網膜剥離症は,この酸素中毒の代表的例である.また,慢性肉芽腫(chronic granulomatosis disease:CGD)が,実は貪食した白血球が活性酸素による殺菌能をもたないために生ずる疾患で,活性酸素の生体における意義を端的に示すことはいうまでもない.
しかし,活性酸素(active oxygen)と称せられる一群の分子の強力な働きが明らかになるにつれて,生体への障害の恐れと同時に,生体内においても何らかの防御策が存在するのではないかとの予想がもたれるようになった.その間,1969年にI Fridovichらは,代表的活性酸素種の一つである・O2-(スーパーオキサイドアニオン)を除去(不均化消去)する酵素であるスーパーオキサイドジスムターゼ(superoxide dismutase:SOD)が生体内に存在することを発見した.
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