増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第5集
血液生化学検査
酵素および関連物質
その他
ACP(酸性フォスファターゼ)
井山 茂
1
,
網野 信行
2
1大阪大学医学部附属病院臨床検査部
2大阪大学医学部臨床検査診断学
pp.122-123
発行日 1994年10月30日
Published Date 1994/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402909776
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検査の目的・意義
ACP(酸性フォスファターゼ)は,リン酸モノエステルを加水分解する酵素のうち,pH4.5〜6.0に至適pHを持つ酵素である.ACPには臓器特異性のあるアイソザイムが数種知られており,前立腺に多く存在するほか,骨,赤血球,白血球,血小板,肝臓など種々の臓器や細胞に存在する.ACPは,上記の臓器などの細胞破壊により血清中に遊出するものと考えられ,血清ACP値は,前立腺,骨,網内系などの疾患の診断のために測定される.
なお,前立腺由来のACP(P-ACP)がL-酒石酸により100%阻害を受けるため,総活性とL-酒石酸阻害時の活性を測定し,その差をP-ACP活性とみなしている.しかし,白血球,血小板および実質臓器由来のACPもL-酒石酸により阻害される.そこで,前立腺疾患の診断には,免疫化学的測定法によるP-ACP蛋白濃度測定値(腫瘍マーカーの「PAP」の項参照)なども用いられる.
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