増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第6集
血液生化学検査
酵素および関連物質
γ-GTP(γ-グルタミルトランスペプチダーゼ)
山内 眞義
1
,
戸田 剛太郎
1
1東京慈恵会医科大学消化器・肝臓内科
pp.290-293
発行日 1999年10月30日
Published Date 1999/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402906349
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異常値の出るメカニズムと臨床的意義
γ-glutamyl transpeptidase(γ-GTP)は,グルタチオン(γ-glutamyl-L-cysteinylglycine)のようなγ-グルタミールペプチドを加水分解すると同時にγ-グルタミール基を他のアミノ酸やペプチドに転移する酵素(EC 2.3.2.2.)である.剖検時に検討したγ-GTPの臓器分布は,腎に最も高く,膵がこれに次ぎ,肝の活性は低く,これらの3臓器の活性比は100:24:7である.血清γ-GTPは主として肝由来で,尿γ-GTPは腎由来である.腎疾患では,一般に血清γ-GTPは正常域にあり,膵疾患でも膵頭部病変による胆道系の狭窄・閉塞を伴わない限り,有意な血清γ-GTPの上昇は認められない。γ-GTPは,膜酵素として細胞内のグルタチオンの分解と再合成に共役しながら,アミノ酸の転入と利用に関与している(図1).正常肝組織を組織化学的に検討すると,毛細胆管から門脈域の胆管上皮,肝細胞膜の胆汁分泌側に分布する.したがって胆汁うっ滞では,排泄障害により血中に逸脱して血清値が上昇するが,詳細な上昇機序については明らかではない.
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