増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第4集
血液化学検査
132.γ-GTP(γ-グルタミルトランスペプチダーゼ)
吉川 智加男
1
,
中 恵一
1
1大阪市立大学医学部・臨床検査医学
pp.1950-1952
発行日 1989年9月10日
Published Date 1989/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402222821
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γ-グルタミルトランスペプチダーゼ(γ-GTP:EC 2.3.2.2)は,グルタチオンのγ-グルタミル基を受容体であるアミノ酸,ペプチドに転移させる酵素であり,近年γ-グルタミルトランスフェラーゼ(GGT)と呼ばれている.本酵素はγ-グルタミルサイクルの中で唯一の膜結合酵素であり,グルタチオンの代謝に関与して各種のアミノ酸の細胞内への取り込みを担っているものと考えられている.実際,γ-GTPは腎,膵,肝組織の順に活性が高く,とくに腎では近位尿細管,肝では毛細胆管,膵では膵腺房や膵管系などの吸収,分泌に関連する膜系に広く分布している.肝細胞のγ-GTPは大部分ミクロソーム分画に局在し,血清中にはわずかに可溶化された形で存在する.血清のγ-GTPは肝由来であり,膵疾患,腎疾患でも膵,腎由来のγ-GTPは血中に反映しない.また尿中γ-GTPは腎由来であり,その他乳汁中,精液中にも高い活性がみられる.
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