増刊号 臨床医のための最新エコー法
エコー法の新しい展開
非線形パラメータイメージング
秋山 いわき
1
1湘南工科大学工学部電気工学科
pp.386-388
発行日 2000年10月30日
Published Date 2000/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402907786
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超音波による組織性状診断を目的として非線形パラメータが注目されたのは,1980〜1990年にかけてである.この頃,様々な組織に対する非線形パラメータについて,in vitroでの測定値が報告されている1〜3).組織特性からみた非線形パラメータの意味については,様々な議論があるが,現在のところ明確な結論は得られていない.しかし,癌の診断などについて大きな可能性を秘めていると思われる.一方,非線形パラメータの測定法は大きく分けて次の2つに分類される.音速の温度依存性および圧力依存性から測る熱力学的手法2〜4)と,非線形伝搬によって発生する第2高調波から測定する有限振幅法1,4)である.前者の手法のほうが測定精度は高いが,in vivoでの測定は難しい.一方,筆者らは有限振幅法をエコー信号に適用してイメージングまで可能にした手法を1985年に提案した5).そして1990年にin vitroではあるが,牛肝の画像を示した6).最近,エコー信号における第2高調波を測定する技術が進み,市販の装置でも実現可能となった.新しい組織性状診断としてBモードでは得られない情報を獲得できるため,今後の臨床への適用が期待される.
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