基礎科学からの提言・15
神経興奮の非線形力学
合原 一幸
1
,
小谷 誠
1
Kazuyuki AIHARA
1
,
Makoto KOTANI
1
1東京電機大学工学部電子工学科
pp.1075-1080
発行日 1984年9月15日
Published Date 1984/9/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1542912296
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はじめに
行動やふるまいに一見ランダムな「ゆらぎ」を伴うのは,酔客の歩行や乙女心に限らず,生体系に広くみられる現象である.最近10年ほどの「ゆらぎ」に関する理論的研究の著しい進歩により,差分方程式や微分方程式で表される確定的な非線形力学系が,一見ランダムで予測不可能なchaos(カオス)と呼ばれる非周期解を持ちうることが明らかにされ,数学,物理学,化学,生物学や工学など,種々の分野で注目を集めている1).
以下では,ヤリイカ巨大軸索およびHodgkin-Huxley方程式2)を例にして,神経膜レベルでの非線形力学やリズムとカオスに関して概説する.
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