続・アメリカの医学教育 スタンフォード大学病院レジデント生活・8
救急外来
赤津 晴子
1
1アメリカ・スタンフォード大学病院内分泌内科
pp.2039-2042
発行日 1998年11月10日
Published Date 1998/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402907245
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ER
数年前から始まったアメリカのテレビドラマ「ER」が人気を呼んでいる.ERとはEmergencyRoomの略で,救急外来のことである.救急外来はアメリカの医療機関のなかで,ある独特の位置を占めている.一つは,アメリカの外来はたいていどこでも予約制のため,今日診てもらおう,と思ってもすぐには予約が取れない.そこで緊急患者は救急外来を訪ねることになるのであるが,この「緊急」という言葉の解釈が人によってだいぶ異なる.したがって,救急外来には救急車で瀕死状態で運ばれてくる重症患者から,心配だからとにかく今日のうちに診てもらいたい,とやって来る患者まで,様々な容態の人々でごった返すことになる.もう一つは,医療保険を持たない人口の増加に伴って,救急外来がプライマリ・ケアの代わりに利用されるようになりつつあるという側面である.
スタンフォード大学病院の救急外来には約25床のベッドがあり,そこでは救急医療を専門とするAttending Physician,インターン,レジデントのほか,内科,外科,小児科のインターンとレジデントが日夜仕事をしている.このうち3ベッドがtrauma(救急外科)用で,外傷のひどい患者専用である.内科のインターンあるいはレジデントとして救急外来勤務につくと,小児を除き,大人の患者であれば,産婦人科系,精神科系,眼科系をはじめ軽外傷,皮膚病など,内科疾患に限らず様々な患者を診ることとなる.
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