アメリカ・ブラウン大学医学部在学日記・12
エイズ外来実習で患者と向き合う
赤津 晴子
1
1スタンフォード大学病院内科
pp.1648-1650
発行日 1995年8月10日
Published Date 1995/8/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402903820
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AIDS(Acquired Immuno-Deficiency Syndrome:エイズ)という疾患概念がアメリカで確立された1981年から10年以上の年月が経った.WHOの集計によると,1994年現在,エイズ患者数は控え目に見積もっても全世界で300万人,HIV(Human Immuno-Deficiency Virus)感染者は1,400万人にのぼるといわれている.よく知られているように,HIVの標的はヘルパーT細胞やマクロファージなどホストの免疫機構に不可欠な細胞である.したがって,HIV感染者は後天性の免疫不全症を引き起こし,通常では稀な悪性腫瘍や,通常の健康人では自己の免疫機構の働きにより感染が成立しないような,またしたとしても良好な経過をたどり,治ってしまうような感染症を発症し死亡する.1990年代のアメリカ医学界に身を置く者にとって,エイズは決して避けては通れないものである.
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