けんさ—私の経験
中枢神経系感染症の髄液検査の心掛け—急性発症の場合
原 元彦
1
1静岡赤十字病院検査部(神経内科)
pp.528
発行日 1999年10月30日
Published Date 1999/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402906454
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髄膜炎,脳炎が疑われる場合の髄液検査では,①治療開始前に検査に十分な量の髄液を採取すること,②細胞数,蛋白,糖,C1などの髄液一般検査に加えて,細菌,結核菌,真菌の塗抹・培養検査を行うこと,③同時血糖を調べること,が原則である.細菌,結核,真菌による髄膜炎が疑われる場合はその旨を検査室に伝え,できるだけ多くの髄液を細菌検査に回し,病原菌が特定できるよう配慮する.髄液IgGウイルス抗体価などは冷凍保存した髄液からも検査可能な場合が多いので,残った検体は冷凍保存しておく.
ウイルス性髄膜炎は予後良好な疾患であるが,検査で細菌,結核菌,真菌などの感染が否定されていること,臨床的に意識障害やfocal signが認められないことを確認する必要がある.結核性髄膜炎,クリプトコッカス性髄膜炎は亜急性の発症経過をとるが,初診時の問診でははっきりしない場合もあり,高齢者などは特に注意が必要である.髄液の糖は血糖値の40%以下の場合は明らかに低下しており,異常である.細菌性髄膜炎の場合,抗生物質投与前の髄液検査では,著明な多形核優位の細胞増多と蛋白増加,糖低値を認め,塗抹検査で細菌を認める場合もある.細菌性髄膜炎では敗血症の合併を認めることがあるので,抗生物質の投与前に必ず血液培養を施行する.
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