増刊号 免疫検査実践マニュアル
各論
Ⅷ.感染症
3.ウイルス感染症の免疫検査
(6)中枢神経系感染症
田島 マサ子
1
1帝京大学医学部附属病院中央検査部
pp.301-303
発行日 1994年4月15日
Published Date 1994/4/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543901977
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ウイルス感染には一過性の感染系(感染ウイルスが体内から排除される)と持続感染系(感染後ウイルスが体内から排除されずに持続する)とに分けて考えることができる.
(1)一過性感染とは感染後に産生抗体によりウイルスが体内から排泄される感染系で,ほとんどのウイルスがそうである.中枢神経系への感染ウイルスとしては日本脳炎,エンテロウイルス,まれに下痢症のロタウイルスがある.無菌性髄膜炎は80〜90%がエンテロウイルスによるもので,14歳以下の子供に多い.コクサッキー,A群の9,コクサッキー,B群の2〜4,エコー6,7,9,11,30型は流行型で,髄液からのウイルス分離率も高い.1991年の夏〜秋にかけてエコー30型の流行では成人の無菌性髄膜炎の報告がある.エンテロ71ウイルスは手足口病の病因ウイルスで,流行時には中枢神経系の症状を伴うことが知られている.ムンプスウイルスは罹患後に髄膜炎を併発.麻疹ウイルスもまれに罹患後脳炎を引き起こす.風疹ウイルスは先天性風疹症候群の中に髄膜脳炎が一過性にみられる例と,風疹罹患後に脳炎になる例がある.
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