けんさ—私の経験
速やかな結核菌検査の重要性
稲沢 正士
1
1前橋赤十字病院呼吸器科・アレルギー免疫科
pp.497
発行日 1999年10月30日
Published Date 1999/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402906441
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一般市民病院において気管支肺疾患患者を診て,最初は胸部の異常はなくてもその後異常影が出て,後に大きな影響を及ぼす結核に時々遭遇する.他の消耗性疾患で入院して,入院後のX線写真で胸部影があり,その後喀痰結核菌検査を行いガフキー何号と認めた例がある.それまで休日を含め1週間も大部屋に収容されていたため,その後同室の患者,かかわった医療従事者の検査,器具の滅菌,それも予防的観点から,かかわった人たちは1年も病院が自前でフォローしなければならないことがあった.
胸部X線写真が早期の肺癌の発見にはあまり有効に機能しない一方,結核に関してはしばしば大事な情報を与える.結核に対して有効な処置がある以上,われわれは注意してそれを得る必要がある.結核の性質上,排菌がなくても治療が必要な患者も多いが,排菌しているかあるいはそれが否定できるかどうかは,次のステップに非常に大事な情報を与える.結核を少しでも考慮に入れるべき臨床症状をもつ患者や,胸部影のある患者については,受診日の喀痰,翌日の空腹時胃液を含めた早朝喀痰結核菌検査を行うこと,そして,それらの検査の結果がその日のうちにわかるかどうかということが,結核が周囲に広がりうる危険を最小限に抑えられるかどうかの,きわめて大きなポイントとなる.
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