連載 魁!! 診断塾・4
震えよ,速やかに止まれ!の巻
佐田 竜一
1
,
綿貫 聡
2
,
志水 太郎
3
,
石金 正裕
4
,
忽那 賢志
5
,
原田 拓
6
1亀田メディカルセンター 総合内科
2東京都立多摩総合医療センター リウマチ膠原病科
3ハワイ大学 内科
4国立感染症研究所感染症疫学センター FETP-J
5国立国際医療研究センター 国際感染症センター
6昭和大学病院 総合診療部
pp.1336-1341
発行日 2014年7月10日
Published Date 2014/7/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402107672
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躁うつ病とパニック障害で精神科,甲状腺機能低下症と脂質異常症で糖尿病代謝内分泌科に通院中(ともに当院)の64歳女性.入院前日の昼頃,嘔気,動悸,不安感を自覚したため,昼と夜に手もちのナウゼリン®の内服と座薬を使用して安静にしたが,改善しなかった.入院日の0時頃,母親の往診医による診察を受け,プリンペラン®の筋注を行ったが,やはり症状は改善せず,来院した.来院時も嘔気,動悸,不安感を認めたが,嘔吐,下痢,頭痛,胸痛,腹痛,発熱などはなかった.カルテを参照すると,数カ月に1回の割合で嘔気を主訴にER受診歴があり,心因性嘔気症の診断で,抗不安薬や制吐薬などが処方されている.
アレルギー,飲酒・喫煙歴はなし.内服歴はチラージン®(50)1.5T 1×,リバロ®(2)1T 1×,ワイパックス®(1)2T 2×,ワイパックス®(0.5)1T 1×,リフレックス®(15)2T 1×,ラミクタール®(100)1T 1×,アナフラニール®(25)3T 3×,エビリファイ®(3)1T 1×,マイスリー®(10)1T 1×
バイタルは洞性頻脈,身体診察および神経学的診察で大きな異常はみられず,検査所見でも軽度の肝胆道系酵素上昇があるのみであった.ERで補液とプリンペラン®の投与を行うが症状は改善せず,嘔気症状が続いたうえに「動きにくい」という症状が出てきたため,経過観察目的に入院となった.入院翌日の朝,診察に行くと看護師から「入院した時に比べて発汗が顕著に出ている.ぼーっとしていたり,目的もなくふらふらと部屋のなかを歩き回ったりしていて,様子がおかしい」と報告があった.
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