特集 公衆衞生に必要な諸検査
結核菌検査の心構え
小川 辰次
1
1結核予防会結核研究所
pp.53-55
発行日 1954年2月15日
Published Date 1954/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401201333
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どの本を見ても,結核症の臨床診断は結核菌を可検材料の中から検出する事が最も確実な方法であると書いてある。成程それに違いない。偶然に迷入した結核菌を除外できれば,喀痰中に結核菌を証明すればツ反応はどうであつても,X線写真がどうであろうとも,呼吸器系のどこかに病巣があるに違いないし,膿中に結核菌が証明されればそれは結核性のものに違いない。結核菌の検査は単に診断と云うだけでなくて,治療の方針,予後の決定,健康管理を初めとして,結核症を論ずる場合には,X線写真と共に,缺く事のできない重要な検査であつて,しかも,菌の動きは,X線写真などと違つて,敏感に薬病勢を反映させるものである。随つて結核菌の検査は正しく慎重になさるべきである。
私はここに,どの様にすれば正しい検査が行われるか,殊に化学療法が行われる様になつてからは,どの様な心構えが必要かについて,申し述べて見たいと思う。
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