増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第6集
内分泌学的検査
副腎
尿中17-OHCS,尿中17-KS(尿中17-ヒドロキシコルチコステロイド,尿中17-ケトステロイド)
中井 利昭
1
1筑波大学臨床医学系臨床病理
pp.474-475
発行日 1999年10月30日
Published Date 1999/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402906430
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異常値の出るメカニズムと臨床的意義
尿中17-OHCSは,コルチゾール,デオキシコルチゾールやこれらの代謝産物を総和として測定したものである.しかし,量的にはコルチゾールが多いのでコルチゾール分泌を反映したものといってよく,副腎皮質からの糖質コルチコイドの分泌状態を知るよい指標である.RIA法の進歩で血中コルチゾールの測定が比較的容易になっているが,尿中17-OHCS測定は日内変動を受けないなどの利点があり,現在でもルーチン検査として広く用いられている.
尿中17-KSは性ステロイド系のテストステロン,デヒドロエピアンドロステロンなどの分泌動態を反映する.副腎と性腺両方に由来するが,副腎由来のものは年齢による変動がきわめて少ないので,男性では尿中17-KS排泄値は睾丸からのアンドロゲン分泌の多寡を知るよい指標となる.これに対して,女性ではほとんど全部が副腎由来であるので,副腎性性ステロイド分泌のよい指標となる.しかし,男性でも副腎の疾患の場合は17-KS値に異常をきたすので,測定意義が大きくなる.
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