増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第6集
血液生化学検査
血液ガス・電解質・微量金属
Ca/P(カルシウム/リン)
井上 大輔
1
,
松本 俊夫
1
1徳島大学医学部第1内科
pp.412-415
発行日 1999年10月30日
Published Date 1999/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402906399
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異常値の出るメカニズムと臨床的意義
Ca・Pのバランスは主に腸管からの吸収,腎からの排泄によって決定されており,血清中の濃度は体内における分布にも大きな影響を受ける.生体内のCaの99%は骨に貯蔵されており,残りのほとんどは循環血漿を含む細胞外液中に存在する.骨,細胞外液の2つのコンパートメントには動的平衡が保たれており,同時に腎および腸管における吸収閾値を調節することにより,血清Ca濃度は厳密に制御されている.一方,リンは骨に約85%が貯蔵されており,残りは細胞外よりもむしろ細胞内に高濃度に分布する.血清P濃度はCaほど厳密には調節されていない.
Ca・P代謝の最も重要な調節因子は,PTHおよび1α,25(OH)2-vitamin D(活性型ビタミンD)である.主な生理作用として,PTHは骨吸収の促進によるCa・Pの血中への動員,腎からのP排泄促進,腎近位尿細管における活性型ビタミンD産生(1α水酸化酵素活性)の促進,ビタミンDとの協調作用による遠位尿細管でのCa再吸収促進などの作用をもつ.一方,活性型ビタミンDは,腸管からのCa・Pの吸収促進,PTHとの協調作用による腎遠位尿細管でのCa再吸収促進などの作用を有する.
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