増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第6集
血液生化学検査
脂質・リポ蛋白
CETP(コレステリルエステル転送蛋白)
稲津 明広
1
,
小泉 順二
2
,
馬渕 宏
3
1金沢大学医学部保健学科医学検査学
2金沢大学医学部医学科総合診療部
3金沢大学医学部医学科内科学第2
pp.392-394
発行日 1999年10月30日
Published Date 1999/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402906394
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異常値の出るメカニズムと臨床的意義
CETPは,Zilversmitにより1975年に,リポ蛋白間でのコレステリルエステル(CE)の転送,交換を促進する蛋白としてその存在が知られるようになった.その単離はHeslerら,Jarnaginらによりなされ,1987年にDraynaらによりcDNAがクローニングされた.CETPはコレステロール(CHOL)逆転送系(reverse cholesterol transport:RCT)の重要な因子であり,CETP欠損症の病態解析を通じて,その測定が普及しつつある.HDLの脂質転送能の評価,HDLコレステロール(HDL-C)値の個体差や変動を理解するために有用な検査である.HDL関連酵素である,リポ蛋白リパーゼ(LPL),肝性リパーゼ(HTGL),レシチンコレステロールアシルトランスフェラーゼ(LCAT)を同時に測定することでその検査価値は向上する.CETPとHTGLの低下はHDL-C値増加をきたし,LCATとLPLの低下はHDL-C値低値と関連している.
HDLは,①動脈硬化巣を含めた末梢細胞由来や,②食事性および内因性のトリグリセリド(TG)の多いリポ蛋白(キロミクロンとVLDL)の水解により生じた余分なCHOL,リン脂質を受け取る.LCAT活性を介してCHOLのエステル化に伴い,HDL3からHDL2への粒子サイズの増大が認められる.
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