増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第6集
血液生化学検査
酵素および関連物質
アルドラーゼ
石井 潤一
1
1藤田保健衛生大学医学部循環器内科
pp.304-305
発行日 1999年10月30日
Published Date 1999/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402906356
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異常値の出るメカニズムと臨床的意義
アルドラーゼ(aldolase:ALD)は分子量150kDの四量体蛋白であり,嫌気性解糖系酵素の一つである.ALDは六炭糖であるフルクトース-1,6-ニリン酸(FDP)を二分子の三炭糖,ジヒドロキシアセトンリン酸とD-グリセルアルデヒド-3-リン酸に,フルクトース-1-リン酸(FIP)をジヒドロキシアセトンリン酸とD-グリセルアルデヒドに分解する1,2).
ALDには免疫学的に異なるA(筋)型,B(肝)型およびC(脳)型の3種類のアイソザイムが存在する.A型はFDPに高い親和性を有し,嫌気性解糖におけるエネルギー産生に適しており,解糖の盛んな組織に多く含まれる.一方,B型はFDPおよびFIPの両者に高い親和性をもつため糖新生に適している.また,C型はA型とB型の中間の性質を有する1,2).
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