増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第6集
血液生化学検査
蛋白
血清総蛋白,蛋白分画,A/G比
木村 聡
1
1昭和大学医学部臨床病理
pp.186-189
発行日 1999年10月30日
Published Date 1999/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402906299
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異常値の出るメカニズムと臨床的意義
血清蛋白の種類は100以上にのぼる.その主なものはアルブミン,免疫グロブリン,リポ蛋白などである.これらの総量をみるのが総蛋白であり,構成比から様々な病態の把握を行うのがA/G比と蛋白分画である.個々の蛋白定量に較べ疾患特異性は劣るが,いずれも迅速,簡便かつ安価に血清蛋白の概況が把握できる利点をもつ.このため日本臨床病理学会は,「日常診療における基本的臨床検査」の一つに組み入れている.
それぞれの分画に含まれる主な蛋白を表1に示す.数が多くて覚えきれないようにみえるが,実際は各分画で最も量の多い蛋白1〜2種類の増減が大きく反映される.例えばα1分画に含まれる蛋白では,急性相反応物質α1アンチトリプシンが主体で,炎症性疾患で増加する,α2分画ではハプトグロビンが主体で,炎症で増加,溶血で減少する.β分画ではリポ蛋白とトランスフェリンが主体で,前者は高脂血症で増加,後者は腎糸球体障害で減少する.γ分画ではIgGが最も多く,炎症性疾患やM蛋白血症で増加する.また「血清総蛋白」としては,量的に最も多いアルブミン,グロブリンの増減に左右される.このように各分画の代表的蛋白を一つずつ覚えれば,基本的なパターンは判定できる.
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