増刊号 これだけは知っておきたい検査のポイント 第6集
血液検査
凝固/線溶系検査
プロテインC,プロテインS,APCコファクター2
小山 高敏
1
1東京医科歯科大学医学部保健衛生学科
pp.172-173
発行日 1999年10月30日
Published Date 1999/10/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402906293
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異常値の出るメカニズムと臨床的意義
血液凝固反応活性化で産生されたトロンビンは,血管内皮細胞膜上の糖蛋白トロンボモジュリン(thrombomodulin:TM)と結合し,プロテインC(protein C:PC)を活性化する.内皮細胞上に存在するPC/活性化されたPC(activated PC:APC)受容体(endothelial protein C receptor:EPCR)は,トロンビン・TM複合体によるPCの活性化を著しく促進する.APCは,別のビタミンK(Vit K)依存性蛋白のプロテインS(protein S:PS)を補助因子として,活性化第V因子(FVa),活性化VIII因子(FVIIIa)の両方を蛋白分解して不活化し,凝固反応進行を遅滞させる.血漿中のPSは,約60%が,古典的補体活性化経路の制御蛋白であるC4b-結合蛋白(C4b-BP)に結合して存在する.C4b-BPに結合していない遊離型PSのみが,APCの補助因子として作用する.FVは,PSとともに存在すると,APCがFVIIIaを不活化する際の補助因子として働くため,APCコファクター2とも呼ばれる.欧米人において従来原因不明の先天性血栓性素因患者の多くがAPCの抗凝固作用に対する抵抗性(レジスタンス:低応答性)を示すことがわかり,APCコファクター2すなわちFVの異常であることが推測された.
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