今月の主題 レディースクリニック
女性と血液疾患
出血傾向
高松 純樹
1
1名古屋大学医学部輸血部
pp.1733-1735
発行日 1996年9月10日
Published Date 1996/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402905279
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
ポイント
●女性にみられる出血性素因は決して少なくないが,その多くは特徴ある出血症状や,出血メカニズムのために診断は比較的容易である.病歴,家族歴あるいは出血の種類などを詳細に検討することは極めて重要である.
●点状出血,歯肉出血は通常血小板減少に,鼻出血,抜歯後出血などの粘膜性出血は,血小板の減少と血小板の機能異常の際に認められることが多い.
●関節内出血,筋肉内出血は血友病に特徴的であるが,血友病保因者や後天的に生じた抗体によって第VIII,IX因子活性が低下した場合は,男女とも発症が認められる.
●女性で認められる先天性出血性素因で最も頻度の高いvon Willebrand病では,重症型では時に関節出血の報告がある.
●臍帯脱落部からの出血は先天性無フィブリノゲン血症,先天性第XIII因子欠乏症に特徴的である.女性特有の病態として流産があるが,先天性無フィブリノゲン血症患者,第XIII因子欠乏症では必発である.
●また,年齢別による臨床症状の発現についても留意する必要がある.
Copyright © 1996, Igaku-Shoin Ltd. All rights reserved.