iatrosの壺
Torsades de pointesの一例
石元 篤雄
1
1高知記念病院内科
pp.57
発行日 1996年11月30日
Published Date 1996/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402905423
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普段教科書や文献の上でよくわかっていても,いざ救急の場面になると慌てるものである.
75歳の女性が,意識消失と痙攣を起こして救急車で搬送されてきた.来院時の心電図は心室頻拍で,直ちに電気的除細動を行い,洞調律に戻り意識も回復した.同時にリドカインの静注と持続点滴をしたが,その後も心室頻拍から細動を繰り返し,電気的除細動をしてその度ごとに洞調律に復帰した.メキシレチンやプロカインアミドを点滴したが効果はなかった.洞調律回復時の心電図は完全房室ブロックであり,家族から,通院中の近医で最近このことを言われていたことがわかった.10回以上も電気的除細動を繰り返しながらやっと一時ペースメーカーを挿入,70/minでペーシングして頻拍は消失した.繰り返す心室頻拍は完全房室ブロックに伴うtorsades de pointesだったのである.この患者は拡張型心筋症と発作性心房細動があり,利尿薬,Ca拮抗薬,Ia群抗不整脈薬を投与されており,10日前に完全房室ブロックが認められ,ペースメーカーを検討されているところだったそうである.
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