iatrosの壺
異型狭心症における服薬指導の重要性
黒田 篤
1
1今給黎総合病院循環器科
pp.45
発行日 1996年11月30日
Published Date 1996/11/30
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402905411
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異型狭心症の発作が,飲酒や喫煙で誘発されることはよく知られている.特にアルコール摂取の翌朝に発作が起きることが多いが,飲酒後に冠攣縮の予防目的で投与されているCa拮抗薬などの服用を怠ると,より重篤な発作が生じ,場合によっては心臓急死につながることもあるとされている.アルコールにて発作が誘発される症例では,禁酒を指導する必要があるが,発作が稀にしか起こらないような症例では,禁酒や服薬指導が守られないことがあるのが現実である.最近,冠動脈造影で冠攣縮が確認された異型狭心症の患者で,多量の飲酒後,Ca拮抗薬の服用を怠ったため重篤な発作をきたした症例を経験したので紹介する.
症例は48歳男性.異型狭心症の診断にて,Ca拮抗薬(ニフェジピン徐放錠40 mg/day)を投与されていた.最近1年間は発作はほとんどなく経過良好であった.元来,アルコール類はほとんど摂取しないほうであったが,職場の同僚との会合にて多量の飲酒を行い,さらに主治医より指示されていたCa拮抗薬の服用も怠ってしまった.翌朝,これまで経験したことのない強い胸痛発作が出現し搬入されたが,既に心室細動となっており,直ちに電気的除細動と亜硝酸薬の投与を行い救命することができた.
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