Japanese
English
ジュニアコース
異型狭心症
Variant Form of Angina.
和田 敬
1,2
Takashi Wada
1,2
1久留米大学木村内科
2大脇病院内科
1Dept. of Internal Medicine, School of Medicine, Kurume Univ.
2Consultant Cardiologist Ohwaki Hospital.
pp.419-423
発行日 1966年5月15日
Published Date 1966/5/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404201593
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1957年の秋,一人の患者が私どもを訪ずれてきた。著者はちょうど,このときロスアンゼルスのCedars of Lebanon理院の研究所で,Myron Prinzmetai先生に教えをうけていたときのことである。
この患者は42歳の男子で,狭心症様の発作を主訴としていた症例である。狭心症の発作は,きまって,早朝と夕方におこるが,労作によって誘発されないというちょっと変わった形のものである。発作時には,典型的な狭心症にみられるような,胸骨裏面の圧迫感を5分ぐらい経験するという。しかし,患者は18ホールのゴルフも数時間にわたるスキーにも支障がないという。これまでも数人の医師に診てもらったが,なんの客観的な所見は見出せなかったということである。われわれも心電図を撮り,負荷運動もさせたが,いずれも正常範囲であった。血圧にも異常は認められず,胸部レ線でも心陰影の拡大は認められなかった。このため,狭心症の発作は,神経性のものであろうということで,患者も納得したかのように思えた。その後,偶然のことから,夕方の発作時における心電図が撮られた。これは心電図を撮っているときに,例の胸部圧迫感を訴えたもので,心電図は第I,II,III誘導しか撮れなかった。というのは,これらの誘導でSTの上昇を認めたが,胸痛は2分とは持続せず,第I,II,III誘導を再検したときには,すでに胸痛も消失し,STも基線に戻っていたのである(第1図)。
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