Japanese
English
綜説
異型狭心症
Variant Form of Angina Pectoris
水野 康
1
Yasushi Mizuno
1
1名古屋大学医学部第1内科
1The 1st Dept. of Internal Medicine, Nagoya University School of Medicine
pp.457-467
発行日 1966年6月15日
Published Date 1966/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1404201599
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はしがき
Heberdenの記載した狭心症1)2)は,1)心仕事量が増加するときに狭心痛が誘発され,安静または亜硝酸薬の服川によって消失する,2)狭心痛のあるときにとられた心電図では計一般に,I,II,IIIとか左胸部誘導でSTの降下がみられる,という2つの大きな特徴をもっている。これに対して,強い胸部痛を計有し,冷汗,嘔吐内痔にはショックや発熱を伴い,心電図計上にSTの著期な上昇とT波の増高を伴う,いわゆる単相波形がみられるときは,あきらかに急性心筋硬塞の発作と診断される。これら2つの冠疾患の間には,中間型と呼ばれる症状も,心電図所見もまちまちであるものがみられる。労作と関係なく比較的長くつづく胸痛発作があり,安静とか亜硝酸薬によって軽減することが少ないという点では心筋硬塞に似るが,一方,末梢循環不全,うっ血性心不全,肺水腫とか発熱などを伴わない点では狭心症に近い。この中間型の狭心発作は,大きな心筋傷害所見を伴うことはまれとされ,SGOTの上昇,赤沈促進,白血球増多とか,心電図で異常Q波の出現をみることは極めてまれである。
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