今月の主題 レディースクリニック
女性と血液疾患
特発性血小板減少性紫斑病と妊娠・出産
川合 陽子
1
1慶應義塾大学病院中央臨床検査部
pp.1730-1732
発行日 1996年9月10日
Published Date 1996/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402905278
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ポイント
●特発性血小板減少性紫斑病(idiopathic thrombocytopenic purpura:ITP)は,若い女性に頻度の高い疾患である.予後は比較的良好で,治療を必要としない軽症のITPも多いが,妊娠・出産を控えた若い女性の治療が問題となる.
●ITPの患者は寛解例でなくても分娩可能であり,妊娠中・分娩時の治療は一般的な治療に準ずる.ただし,胎児の出血管理を含めた治療方針の決定が大切である.ステロイド剤は維持量などの最小限に留めるべきであり,摘脾術は必ずしも児の血小板減少を予防できないので,慎重にすべきである.蛋白同化ホルモンや免疫抑制剤は使用しない.大量のガンマグロブリンは分娩管理に用い,血小板輸血は胎児の出血のリスクの高いときに適応となる.
●出生後,新生児の血小板数を注意深く経過観察する.
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