今月の主題 肝硬変と肝癌
肝硬変の病態と対策
出血傾向
岡部 和彦
1
,
加藤 行雄
1
1聖マリアンナ医科大学横浜市西部病院・内科
pp.1544-1546
発行日 1987年9月10日
Published Date 1987/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402221080
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肝硬変と止血機構
止血機構には一次止血と二次止血がある.一次止血とは血管の一次的障害に対し,障害された血管内皮が癒着・収縮し,露出した内皮下組織,とくにコラーゲンや細線維に血小板が粘着し,さらに別の血小板が凝集する止血機構である.この血小板凝集には,血小板から放出されるADPや,アラキドン酸代謝産物のトロンボキサンA2などが関与する.血小板減少や血小板粘着・凝集能低下では一次止血が障害され,止血時間が延長する.血小板数と出血の関係は必ずしも直線的ではない.
一次止血に続いて凝固機転が関与し,フィブリンが生成され,強固な止血栓が形成される.二次止血である.止血栓は線維芽細胞の増殖により組織化され永久止血が完成する.
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