今月の主題 臨床医のための遺伝子工学
ベッドサイドで可能な遺伝子診断
動脈硬化症の遺伝子診断
一瀬 白帝
1
1山形大学医学部分子病態学
キーワード:
プラスミノゲン・アポリポプロテイン(a)〔アポ(a)〕遺伝子ファミリー
,
Lp(a)の病理作用
Keyword:
プラスミノゲン・アポリポプロテイン(a)〔アポ(a)〕遺伝子ファミリー
,
Lp(a)の病理作用
pp.2117-2119
発行日 1997年11月10日
Published Date 1997/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402904802
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動脈硬化症の中で臨床的に最も問題となるのは粥状硬化症で,その程度が軽い時期は無症状であるが,年月を経て次第に動脈内腔の狭小化が高度になると虚血症状が顕著になる.例えば脳梗塞,心筋梗塞,間欠性跛行症・下肢の壊死など,粥状硬化の起きた動脈によって還流される領域の虚血症状が引き起こされる.
粥状硬化症の成因としては「障害反応説」が定説となっており1),その発生と進展には血管壁の障害に対する細胞遊走・増殖と脂質・細胞外マトリックス代謝が主役を演じ,内腔閉塞には血栓形成や血管攣縮も重要な役割を果たす.粥状硬化は健常人でも10代から発生して緩徐に進行するので,それ自体は加齢現象の一部とも考えられる.しかし食生活の欧米化とともに,比較的若年でも臨床症状を呈する症例が増加しつつあるので,死に至る「生活習慣病」として進行防止の努力が肝要である.
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