今月の主題 臨床医のための遺伝子工学
ベッドサイドで可能な遺伝子診断
内分泌疾患解析
藤原 裕和
1
,
巽 圭太
1
,
網野 信行
1
1大阪大学医学部臨床検査診断学
キーワード:
複合ホルモン欠損症
,
Pit−1/GHF−1
,
Na+/1—symporter
Keyword:
複合ホルモン欠損症
,
Pit−1/GHF−1
,
Na+/1—symporter
pp.2112-2114
発行日 1997年11月10日
Published Date 1997/11/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402904801
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内分泌系において,情報の伝達を担うのはホルモンである.paracrine(傍分泌),autocrine(自己分泌)あるいはneuroendocrine(神経内分泌)などの概念の確立とともに,内分泌およびホルモンの概念も大きく変化してきている.古典的には,内分泌器官でホルモン産生が行われ,血中に分泌,血流を介して標的器官に達したホルモンは,そのホルモンに特異的な受容体に結合し,標的器官内ではこれに対する反応が進み機能が発揮される.
この一連の情報伝達のそれぞれの過程で,遺伝子異常に基づく疾患が最近明らかになってきた.表1に,病因が遺伝子レベルで明らかにされた内分泌疾患をあげた1).本稿では,筆者の研究室で世界に先駆けて病因を遺伝子レベルで明らかにした例を3例紹介する.いずれも先天性甲状腺機能低下症(クレチン症)を呈する疾患で,放置すると重篤な知能・発育の低下を招くが,早期(生後3ヵ月以内)からの治療により発症は予防できる.
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