治療のポイント
動脈硬化症と脂肪
中村 元臣
1
1九大循環器内科
pp.1281-1283
発行日 1966年9月10日
Published Date 1966/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402201463
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動脈硬化症の原因はアテローム硬化と血栓形成
動脈硬化症とは動脈硬化そのものを意味するわけでなく,動脈の硬化に基因して起こつた種々の二次的症状を有する状態をいう。たとえば30歳代の日本人の半数に病理解剖学的な大動脈の硬化は存在するけれども,それらの大多数は臨床的にはまつたく正常であつて,大動脈硬化症とは一般にいわない。一般に動脈硬化とは,動脈のかたくなつた状態すべてを意味するわけであるが,とくに臨床で問題になる動脈硬化とはほとんどの場合にアテローム硬化であり,もつとも脂質との関係について従来広汎な研究が行なわれてきたものである。アテローム硬化におちいると,動脈内膜のいわゆる脂肪線維丘(plaque),肥厚した内膜の壊死,潰瘍,血栓の生成,さらにはplaque内の出血などが起こり,そのために動脈の内膜は完全にあるいはほとんど完全に近く狭窄し,支配末梢組織の壊死や虚血状態が起こり,そのため種々の臨床症状を表わすのである。それらの代表的なものとして狭心症,心筋硬塞,心不全,不整脈,脳硬塞などがある。
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